ソフトバンクのT-Mobile買収はありえるのか--3・11、孫正義は日本にいない。  このエントリーをはてなブックマークに追加

去年、アメリカの携帯通信会社Sprintを買収したソフトバンク。
続けて、どうしてもT-Mobileを買収したい意向のようですが、どうやらアメリカ当局からはNoを突き付けられているようです。

そんなソフトバンクのT-Mobile買収の可能性はあり得るでしょうか。ちょっとまとめてみました。
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孫氏、Tモバイル買収への支持訴えへ―ワシントンでプレゼン実施 - Japan Real Time - WSJ
http://realtime.wsj.com/japan/2014/03/04/%E5%AD%AB%E6%B0%8F%E3%80%81t%E3%83%A2%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AB%E8%B2%B7%E5%8F%8E%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%8C%81%E8%A8%B4%E3%81%88%E3%81%B8%E2%80%95%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3/

孫氏は3月11日、ワシントンの商工会議所でプレゼンテーションを行う予定。4日に送られてきた電子メールの招待状によると、内容は、米国の通信業界や国際競争、さらにはイノベーションや商取引、教育をけん引する上で超高速のブロードバンド通信が果たす役割についてだ。


どうしてもT-Mobileを買収したいソフトバンクは、政府へのロビー活動が不調とみるや、民間に向けて「T-Mobileを買収してAT&T、Verizonとの3強になればこんなにお得だぞ」的なアピールをする事にしたようです。
これは日本で良くやったパターンで、ADSL事業や携帯電話事業、さらには国策の「光の道」で見られた扇動と同じやり方と思われます。

というか、これで3月11日に日本にいないのは確定しているわけですが。
わざわざ3月11日にプレゼンすると予告状送り付けてるわけですし、その程度なのでしょう。
ま、ある意味では日本にいてゴチャゴチャ言われるよりマシな気がしますけどね。


と、わざわざこんなプレゼンテーションとやらをやる理由は1つ。
アメリカの通信当局はT-Mobile買収にNoを突きつけています。これを何とかしたい。

米司法省反トラスト局長、米携帯大手の再編に難色 :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3100M_R30C14A1EB2000/

ソフトバンクのTモバイル買収に難色 米通信当局:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASG244FHZG24UHBI00R.html

米FCC委員長がスプリント孫会長と会談、Tモバイル買収案に懐疑的 | Reuters
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1301X20140204



当局がこの意見に至った根拠はもちろんあるわけでして。

2011年、司法省はAT&TによるT-Mobile買収を認めませんでした。
にもかかわらず、その後も携帯通信各社による競争は進んでいる、というのがその根拠。


また、T-Mobileの親会社であるドイツテレコムは「あるルール」により、ソフトバンクに売却するのは難しいとしています。
さらに最近のアグレッシブな施策が功を奏し、T-Mobileに勢いがある現状も後押しをしているのかもしれません。

ドイツテレコム、近い将来のTモバイル売却見込まず-関係者 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N1ZFIL6KLVRJ01.html

ドイツテレコムCEO:TモバイルUSは単独で生き残り可能 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N21BJO6S972E01.html



東洋経済のこの記事にもありますが、Tモバイルは2年縛りをやめてみたり、乗り換えユーザーにキャッシュバックしたりといった策を講じているとのこと。

悩めるソフトバンク、綱渡りの米国市場攻略 Tモバイル買収実現に向けロビーイングに乗り出す | 週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
http://toyokeizai.net/articles/-/32446



結果、顧客獲得数は急増。またAT&TやVerizonもこれに追随しているようです。
「3強でないと正しい競争環境にない」とする孫正義の意見を強く否定するものです。
ただ、T-Mobileがこのようにアグレッシブな施策を打つ背景はやはり将来のT-Mobile売却を睨んだものであるとは思うので、一概には言えないのですけどね。
売り先をどこと想定しているかは知りませんが。


で、ドイツテレコムがソフトバンクに売却するのが難しいとする「あるルール」についてはこちらを。

Sprint(ソフトバンク)のT-Mobile US買収が、どんどん遠のいていく件 « アメリカより
http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=19915



アメリカの携帯事情に詳しい方のブログです。
1月の時点でこのように書かれており、その内容の正しさが証明された格好です。

ソフトバンクがドイツテレコムに買収案を急いで説得しているのには、もう一つ理由があります。

T-Mobile USAは2013年5月1日、業界5位のMetro PCSと合併し、T-Mobile USを形成しました。
このとき、T-Mobile USAの100%オウナーであるドイツ・テレコムは、新しく株上場したT-Mobile USの株をの74%を所有し、残りは従来のMetro PCSの株主たちが持つことになります。
しかし、ドイツテレコムが新T-Mobile USの株を株式市場で大量に短期で売ると、株が下落する可能性があるため、ドイツテレコムは、「特別な例外を除いて、合併後18ヶ月は新T-Mobile USの株を売らない」と約束しました。
その例外というのが、「ドイツテレコムが、新T-Mobile USの所有株の全部を、一度に、一投資家(企業)に売るときは、可能である。」というものです。

ドイツテレコムによるこの18ヶ月の自粛期限は、今年2014年10月末に期限が切れます。
ということは、ドイツテレコムは、今年11月1日からは自由に、新T-Mobile US株を、必要に応じて切り売りできることになります。
そして、ドイツテレコムがここ数年明らかにしているように、米国市場から徐々に手を引いて、かつ、株を売って現金を手に入れることが出来ます。

ソフトバンクはその前にドイツテレコムを説得し、ドイツテレコムの株を全部自社(またはSprint)に所有させたいのです。
なぜなら、一旦、ドイツテレコムが一般公開市場でT-Mobile US株を売り始めると、その後、ソフトバンク(Sprint)がT-Mobile US株を買い取ろうとすると、複数の投資家や投資団体、証券会社を説得しなければならなくなります。それよりは、ドイツテレコム一社だけを説得して、66%の株を一気に取得するほうが、簡単ですからね。(昨年10月にT-Mobileは 6620万株、約18億ドルを増資したので、現在のドイツテレコムのT-Mobile US株所有率は約66%になります。)
また、一般市場で株を公開買い付けすると、株価が上がって、買い取り価格が引き上がる可能性もあります。

だから、ソフトバンクは、今年2014年10月末より充分前にT-Mobile US買収を決めてしまわないと、その後は買収が今よりも難しくなるんですね。



この「合併後18ヶ月は新T-Mobile USの株を売らない」「所有株の全部を1度に一投資家(企業)に売る場合は例外」という自粛ルールが大きな障壁となっているわけです。
この自粛期間を逃すと株が市場に出回ることになり、時間も金もより掛かるようになる。

さらに、ドイツテレコムは全額現金での買収を求めているとされています。

ソフトバンク、ドイツテレコムとTモバイル株取得で直接交渉 - Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MZL0KP6TTDS001.html



おかしなスキームが使えない、このあたりもソフトバンクにとっては不利と言えます。
ただでさえ巨額買収連発でジャンク債に格付けされているというのに、現金かき集められますかね。


あと、この方の今回の買収騒ぎについての指摘記事は読んでおくと良いかと思います。
SprintのLTEサービスはソフトバンクがオフィスを置くシリコンバレーではまだ始まってないそうですよ。

ソフトバンク孫社長が2014年3月11日ワシントンDCの商工会議所会合で、Sprint/T-Mobile合併の必要性をアピール « アメリカより
http://www.blogfromamerica.com/wp/?p=20654



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あとこれは俺の想像ですが、アメリカ当局はどうもSprintを目の敵にしていた節があります。
まず、Sprint買収に際して、当局から「ファーウェイやZTEのネットワーク機器を使わない」と約束させられています。

「スプリントではファーウェイの通信機器は使わない」:孫社長、ヘッセCEOが会見で - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
http://wirelesswire.jp/Watching_World/201210220914.html



「シナジー効果」という言葉をしきりに口にしているソフトバンクにとっては、想定内だったかもしれませんが痛手のはずです。
イーアクセス買収の記者会見の場でも「ソフトバンクとイーモバイルのネットワークには共通点がある、基地局がファーウェイ製」と発言していますし、中国市場に多くの投資もしていますし。

ソフトバンクとイー・アクセスの経営統合について | ソフトバンク株式会社
http://webcast.softbank.co.jp/ja/press/20121001/index.html



さらに、先日司法省が盗聴費用を水増し請求されたとしてSprintを提訴しました。

米司法省がスプリントを提訴、盗聴費用水増し請求で - WSJ.com
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304085204579418273199196340.html



恐らくですが、ソフトバンクという外資が入ったことにより、槍玉に挙げやすくなっていると思われます。
逆に言えば「槍玉に挙げたい、自由に扱いたいからソフトバンクに買収させた」と。
そんな気がしています。

もしその通りだとすれば、当局がT-Mobileまで買収するのを許すことは絶対に無いでしょう。

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これらを総合すると、プレゼンテーションをするまでもなく、ソフトバンクのT-Mobile買収は暗礁に乗り上げたと言わざるを得ないのですが・・・
しかし、ソフトバンクの「政治に取り入る力」だけは侮れませんからね。これだけは舐めてはいけません。
何せ、日本の「3.11」を捨ててまで今回のロビイングを企んでいるわけですしね。

アメリカが正しい判断を行うことを祈っています。
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